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ブロックチェーンによるIPライセンス管理で生まれるファンとの共創: Story Protocol
Story Protocolで起こるエンタメの変化

エンターテイメント業界や漫画、アニメ、アーティストなどのIPコンテンツの成功において、ファンによるUGCや二次創作は非常に大きな役割を担っています。日本から世界へのバズを起こした「推しの子」の主題歌「アイドル」(YOASOBI)や週間少年ジャンプの漫画「マッシュル-MASHLE-」の「Bling‐Bang‐Bang‐Born」(Creepy Nuts)などはファンによるダンスや歌唱などの二次創作が大きな影響力を持ちました。
その一方で、IPコンテンツの利用にあたって著作権が課題になっています。二次創作への企業の対応も様々で、最近では切り抜き動画などを自由に作って良いとする芸能事務所もあれば、完全に禁止する企業、あくまでもグレーゾーンとしてファンの行動に言及しないなど、それぞれの対応をしています。
特に生成AIが急速に発達する中で、IPホルダーの意図しない形でのコンテンツ活用は問題視されています。今回はブロックチェーンを活用してIPとその利用を管理する「Story Protocol」によって、創作活動とIPライセンス活用の未来がどのように変わるのか探究していきます。
Story Protocolとは?
Story Protocolは、ブロックチェーンによるIP活用の新たなプロトコル(=ルールや企画)を開発するプロジェクトで、2023年に5400万ドルの資金を調達しています。このプロトコルは、ファンによる二次創作を法的な問題なく推進する一方で、IPホルダーの権利を保護することを目指しています。
Story Protocolの仕組み
Story Protocolの魅力はそのシンプルながら強力な構造です。以下は、その核となる2つの要素で、この2つが組み合わさることにより大きな可能性を感じさせてくれます。
1つめは、データストラクチャです。データストラクチャとは、IPの基本情報を集約するブロックチェーン上のデータベースです。例えば、小説ならその世界観やキャラクター情報、音楽なら曲名や音源などがここに含まれるものと考えられそうです。このデータベースによって、IPの詳細が一目でわかり、利用希望者が簡単に情報を得られるようになります。
2つめは、モジュールです。モジュールは、データストラクチャに登録されたIPをどのように利用するかを定義するルールやアプリケーションです。これには「IPライセンスの提供」「収益分配の実施」など、様々な機能が含まれます。オープンリソースで開発されるこれらのモジュールによって、IPの活用方法が多様化し、創作活動の新しい形がどんどん生まれてくるかもしれません。例えば、二次創作によって収益を得たい場合のIPホルダーとの秋絵分配比率はあらかじめモジュールによって定められていて、それに応じた収益分配が自動で分配されるといったことが今よりも格段にやりやすくなります。
想像される未来
Story Protocolを用いることで、次のようなわくわくする未来が待っています。
クリエイティブな共創:ファンとIPホルダーが協力して新しい作品を生み出し、その収益を共有する。
透明な利益分配:ブロックチェーンを活用し、創作活動から生じる収益を公平に分配する。
新しいファン体験:インタラクティブなエンターテイメント体験や、ファン自身が創作活動に参加する機会を増加させる。
既存のユーザーを巻き込んだ共創事例
すでに、web3を活用してファンを巻き込んだ共創を実現するプロジェクトは存在しています。Story Protocolが実装されれば、こうした取り組みをより多くのクリエイターや事業者が簡単にできるようになるでしょう。
NIKE
デジタルスニーカーのデザインをファンから公募して収益分配
自身の声をAI化して商用利用を許可。収益の50%を還元
それぞれのユーザーが作る音源をリミックス可能にしてブロックチェーン上でトレースできるように
NounsというIPを誰でも二次利用できるCC0にしてコンテンツの拡散を図る
結論
Story Protocol とweb3の技術は、エンターテイメント業界を大きく変える力を持っています。これらは創作者とファンの関係を再構築し、二次創作活動をクリーンで収益性の高いものに変えてくれる可能性があり見逃せないものになっています。
Story Protocolは、創作者とファン双方にとって有益な、新たなエコシステムを構築することに貢献しています。エンターテインメントの未来は、よりオープンで、アクセスしやすく、創造的なものになってほしいなと思います。