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ロイヤリティ・プログラムとメンバーシップ・プログラムの違いとメリット
2つのマーケティング・プログラムの威力
ロイヤリティ・プログラムとメンバーシップ・プログラムは、今の時代にとても重要な役割を持っています。双方とも適切に始めて運用することで、ファンとの絆をより深く育むことができ、さらに売り上げを上げる効果も期待できます。
混同されがちな2つのマーケティング・プログラムですが、似ているようで全く非なるものです。それぞれの特徴や注意点を知ることで、どちらが自分たちのブランドやIP、ファンに適しているのかを選ぶこともできますし、両方組み合わせて運用することも可能です。
ファンとの関係性をより強固にするためには?収益をより健全に伸ばすためには?そのためにはどれだけのリソースをかけていくと良いか。この点を抑えて、ロイヤリティ・プログラムとメンバーシップ・プログラムの概要、そして違いを見ていきましょう。
ロイヤリティ・プログラム
概要と構造
ロイヤリティ・プログラムは、ファンのブランドやIPへのアクションに基づいて特典を提供していくプログラムです。例えば、もっとも単純な例でいうと、9個買うと10個目が無料になることが想起されます。昔ながらの八百屋さんで、野菜をたくさん買うと1個おまけしてくれる優しさもロイヤリティ・プログラムと言えます。
現代のロイヤリティ・プログラムは「買う」というアクション以外にも様々なものをカバーしています。500円ごとの買い物、ゲームをクリア、友人の招待、レビューの記載、SNSのフォローなどを通してポイントを獲得することができるようになり、ロイヤリティ・プログラムの利便性や体験はどんどん上がっています。獲得したポイントは無料サンプルや特別な体験へのアクセス、パートナーブランドからの特典と交換可能になっています。LINEでは主に飲食店がショップカードを購入客に対して発行し、購入ごとにQRコードからポイントを獲得、ポイントが一定数たまったら特典と交換することができます。
このようなロイヤリティ・プログラムのプラットフォームを使わなくても、ミスタードーナツ、スターバックス、マツモトキヨシ、無印良品などブランド力のある飲食店や小売は大きな投資をしてロイヤリティ・プログラムを自社アプリで提供しています。
エンターテイメント業界でもロイヤリティ・プログラムは始まっています。ライブアイドルは来場ごとにポイントがもらえてチェキをゲットすることができたり、ラジオでもメールを送って採用されるとステッカーがもらえるなど様々な領域でロイヤリティ・プログラムが動いています。
アイドルでも、ライブアイドルは来場ごとにポイントがもらえてチェキをゲットすることができたり、ラジオでもメールを送って採用されるとステッカーがもらえるなど様々な領域でロイヤリティ・プログラムが動いています。
一方で、ロイヤリティ・プログラムの構築は簡単なものではありません。どのような特典を用意するとファンは喜ぶのか、どれくらいのアクションによって特典をあげるべきなのか、どのくらいのファンに参加してもらうとコストパフォーマンスが高いと言えるのかなど検討すべきことはたくさんあります。ただし、うまく構築できるととてもメリットの大きいものです。
メリット・効果
ロイヤリティ・プログラムの1番のメリットは、ファンとの長期的なエンゲージメントを作っていけることです。ファンの関心度や熱心さに合わせたリワードや特典を提供することで、ファンとの繋がりを継続させることができます。
また、ファンはその体験や嬉しかったことをSNSや口コミで広げてくれます。特にファンは自分が特別に提供された体験やグッズについて話したくなるものです。ファンに長期的なエバンジェリストになってもらうことで、マーケティングや広報、営業のような役割をしてくれる人が現れます。この活動は、新規ファン獲得にとってもパフォーマンスが高いものです。
また、ロイヤリティ・プログラムはメンバーシップ・プログラムと違って無料で参加できるものです。そのため、ファン層の広い範囲をエンゲージできるポテンシャルを持つことになります。(一方、メンバーシップ・プログラムは一部の層にターゲットを絞ったものになります。)
ロイヤリティ・プログラムのもう1つのメリットは、貴重な顧客データを作ることができることです。無料で参加できる魅力的な特典がついたプログラムを提供することで、ブランドやIPはプログラムに参加できるファンの数を最大化し、ブランドやIPとのインタラクションを収集することができます。
例えば、ラジオに5回以上のメールを送った人は特定のグッズを買っている、特典としてスペシャルなイベントを用意すればX回のグッズ購入が見込める、などです。これらのデータは、ブランドやIPがマーケティングや新規商品の開発、イベントの企画、新規ファンを獲得する戦略を立案し改善するためにとても価値が高いデータです。
さらにいえば、ファンにパーソナライズされたレコメンデーションやコンテンツ、オファーを提供したりすることができます。例えば、ライブに通っている数が上位10%以上の人に、ライブのレビューブログを書いたら特典を渡すオファーなどです。
ロイヤリティ・プログラムは、ファンを驚かせ、喜ばせる方法にもなります。ファンはプログラムがない時でもとっていた行動を取ることで報酬をもらえるようになります。いつものファン活動をすると、リワードがもらえるというのは喜ばれますし、信頼を育むことができます。
ロイヤリティ・プログラムが世間一般的になっていくにつれて(すでにアプリやLINEのショップカードによってその予兆をひしひしと感じます。)「ロイヤリティ・プログラムがあるかないか」はファンにとって、漫画を購入したり、沼にハマったり、ライブに行ったり、聴くラジオを決めるための重要な要素にもなりえます。
最近の調査では、63%の消費者はロイヤリティ・プログラムを提供していないブランドにはコミットしないことが明らかになりました。また、ロイヤリティ・プログラムを提供することで、参加後にブランドやIPでより多くのお金を払う可能性が30%高くなります。
メンバーシップ・プログラム
概要と構造
メンバーシップ・プログラムは、ファンがお金を支払って参加し、早期に特典を受け取れるものです。このプログラムでは、無料で参加できるロイヤリティ・プログラムでは提供されないような幅広い特典を提供できるチャンスがあります。そのぶん、メンバーシップ・プログラムへのファンの期待は高まります。また、会員制プログラムは有料であるため、売り上げの状況によっては入会したファンにより価値のある特典を提供する余裕ができるのもメンバーシップ・プログラムの特徴です。
アイドルやアーティスト、芸能人の多くがファンクラブを運営しています。ファンクラブに月額料金を払うことによって、ライブのチケットが手に入りやすくなったり、会報が届いたりするのもメンバーシップ・プログラムの一種です。ファンクラブの場合、登録者一人あたりに年に約6000円ほどの収益が入ります。
ファンが多ければいいですが、例えば登録者が1000人であれば600万円の収益になります。人を1人雇えるほどの金額になりますが、これが多いのか少ないのかは他の売り上げや運用コスト、IPコンテンツの段階によります。
また、Youtubeもメンバーシップ・プログラムに力を入れ始めています。月額料金を支払うことで、動画投稿者を応援できる形になっており、今後も多くのYoutuberが利用するかもしれません。またオンラインサロンなども同じくくりとして考えられます。メンバーシップ・プログラムの裾野がさらに広がれば、いろんなアーティスト、ラジオ、タレントがファンの支援で活動できるようになる世界が待っているかもしれません。
一方で、メンバーシップ・プログラムも構築の難易度は高いです。ファンがお金を定期的に払っても良いと思えるものを提供する必要があり、期待を裏切ると一気に収益を失ってしまう可能性もあります。プログラムに支払い金額に応じて段階をつけるのであればその部分の設計も必要になります。
メリット・効果
やはりメンバーシップ・プログラムの大きなメリットは、ブランドやIPに安定した収益をもたらせることと言えるでしょう。何より、特典を提供する前にお金を受け取れるため、キャッシュフローがよくなります。
直接収益を生むわけではないロイヤリティ・プログラムとは異なり、メンバーシップ・プログラムでは、ブランドはファンから直接お金を受け取ることになります。(メンバーシップ・プログラムのプラットフォームを利用した場合、20%ほどの手数料が取られることになります。この収入によって、ファンに特典を提供するコストは相殺することもできますし、その他のマーケティングや事業活動の資金源にもなります。
メンバーシップ・プログラムのもう一つのメリットは、ファンに限定的な特典やリワードを提供し、競合差別化となることです。会員制にして、限定的なイベント招待やレアグッズが当たる抽選などを用意することもできます。これらの特典は、会員以外には提供されるチャンスすらないため会員はプログラム外の人たちにもブランドの魅力をアピールすることができます。メンバーシップ・プログラムは、ファンの親近感やコミットメントを生み出すことも可能です。最近の傾向では、一度お金を払ったファンは、そのブランドやIPを一度離れても戻ってきやすくなることがわかっています。
まとめ
本ブログでは、ロイヤリティ・プログラムとメンバーシップ・プログラムのそれぞれの構造やメリットを比較してみました。当然、この2つのマーケティング・プログラムを始め、成功させることは容易ではありません。しかし、その先にはこれからのファンとの関係性を再定義し、ビジネスを継続的に、そしてコンテンツを歴史に残す方法があると考えています。
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