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ラジオ業界でのロイヤリティ・プログラムの可能性
ラジオのこれからの可能性
弊社では、TBS Podcastの「カラタチの最果てのセンセイ!」の制作協力をさせていただいています。そこでは、質問に答えるでリスナーであることを証明したり、リスナーたちと公式の検定を作り、合格した人には「知識証明書」を特典としてプレゼントしました。

このリスナー証明書をもっているリスナーは、特別なイベントに参加できる他、下北沢のカレー店の割引が適用されるなどのユーティリティを得ることができました。
最果てのセンセイ!はリスナーの熱量が大きく、客観的にみても(今は)認知度に対してツイート数や盛り上がりの高いラジオだと思います。FUSSYは4月からも引き続き制作協力として、このリスナーの熱量を番組の成長エンジンに変えていきたいと思います。
この記事では、最近私たちが注目しているラジオ業界において、リスナーと関係性を育むロイヤリティ・プログラムのインパクトについて考察していきます。
前提:ラジオはもっとも熱量の集まるハブである
ラジオ業界は2019年に東洋経済オンラインにて「生き残りの道が見えない」などの言及もされていました。ラジオの聴取率は年々低下、広告収入も全盛期の半分ほどで横ばいが続いており、業界としては厳しい目を向けられても仕方ないのかもしれません。
しかし、その現状を打破していくことも可能なのではと思っております。広告収入や聴取率は芳しくありませんが、ラジオには圧倒的な「熱量」があります。YoutubeやTikTokなど他のエンタメが出てきた中でも、残り続けた圧倒的に熱量の高いリスナーこそ鍵になっていくでしょう。
これらのリスナーの熱量によってマネタイズする方法としてイベントやグッズなどがあり、TBSラジオやニッポン放送など各ラジオ曲は積極的にイベントを開催しています。また、近年では新しくメンバーシップ・プログラムを提供する会社も増え、GERAやstand.fmなどがリスナーから番組へお金を送るプログラムを提供できるようにしています。
そもそも、ラジオのパーソナリティを務めるタレントたちはお笑い芸人や俳優、文化人などであり、それぞれが事務所に所属しており“本業”を持っていることが多いでしょう。リスナーやファンと繋がっているチャネルは必然的に多くなり、ライブやイベント、SNS、ECなど様々な事業者がチャネルをまたがってタレントのエコシステムを作り出していると言えます。中でも、ラジオは定期的な配信・頻度が高い・熱量が高いという意味でこれらのチャネルのハブになるポテンシャルがあります。
つまり、ラジオで生まれた熱量を他のチャネルに伝播させることで新たなチャンスが生まれていきます。実際に、FUSSYでも「カラタチの最果てのセンセイ!」のリスナーにアクリルキーホルダーの購入や、ライブに参加するクエストを用意したところ多くのリスナーに実行していただきました。ラジオからライブ、ラジオからグッズの購入などロイヤリティの高いファンが集まるラジオのリスナーはかけがえのない存在といえます。
さて、ここからはラジオとロイヤリティ・プログラムのインパクトや可能性について述べていきたいと思います。
1. ハブから熱量を伝播させていくことによるLTVの向上
さきほど、ラジオは熱量が集まるハブであると説明しました。ラジオでロイヤリティ・プログラムを提供し、リスナーとの関係性を向上させていくことで、この熱をビジネス価値に変えていくことも可能です。「カラタチの最果てのセンセイ!」でもラジオのコンテンツがもとでライブの開催が決まることがありました。
イベントもその熱量の向かう先の一つです。ロイヤリティ・プログラムでリスナーに対してイベントへの参加を促し、特別な特典を提供することが考えられます。
特典があることで、リスナーの参加割合を増やし、特典によりリスナーであることの価値を向上させられます。FUSSYの企画で「カラタチの最果てのセンセイ!」のデジタルサイネージ広告を下北沢で出し、そこに訪れた人に対して「歴史の目撃者」なるデジタルアイテムを送付させていただくことにしました。そこでも多くのリスナーが下北沢まで足を運び、これだけ人が移動するのかと驚いたものです。
また、グッズを販売するECも重要なチャネルかと思います。ロイヤリティ・プログラムとして購入を促し、特典を送るのはスターバックスやマツモトキヨシ、ミスタードーナツをはじめとする多くの飲食店や小売店が実施しているので馴染み深いものかと思います。同じようにグッズの購入に特典を送る付加価値をつけることで、グッズの購入の促進とロイヤリティの向上が見込めます。
リスナーがファン活動を行うことで、特典がもらえ、リスナーであること自体の価値を増していくことができれば長く愛されるので結果的にLTVが増していきます。
2. リスナーとの関係性で作られるラジオコンテンツ
また、ラジオは歴史的にロイヤリティ・プログラムと相性がいいと言えます。なぜなら、ラジオは昔からリスナーとの関係性がコンテンツ化されていたものだからです。その代表例が、当然ラジオコーナーでしょう。リスナーがハガキやメールを送ることにより、コーナーが成立しています。
今でこそ、InstagramやLIVEやTikTok、ゲーム配信などリスナーや視聴者とインタラクティブな形は増えてきましたが、ラジオはこのインタラクティブ性を初期から持っています。
ロイヤリティ・プログラムを提供するはじめは、ファンに対して何かアクションを要求するのはハードルが高く感じられるかもしれません。(実際は、ファンは応援している相手からお願いをされると喜ぶことが多いです。)しかし、リスナーは番組との関係性、インタラクティブ性を文化的に肌身で理解しているので、ハードルが特に下がります。
また、ロイヤリティ・プログラムを提供して、リスナーとの関係性を育み、維持できることでコンテンツのクオリティを向上させることができます。ラジオコーナーの数と量が増えることで、コンテンツのクオリティが上がり、それによってさらにロイヤリティが上がるという好循環を作り出すことができるのです。
この関係性が最初から組み込まれているというのはラジオとロイヤリティ・プログラムの特筆すべき点です。
3. メンバーシップ・プログラムとの相性の良さ
前段でお話しした通り、近年Youtubeをはじめとして視聴者が月額料金を払うことでさまざまな特典にアクセスできるメンバーシップ・プログラムを提供する企業が増えています。このメンバーシップ・プログラムは番組の維持やクオリティ向上にとって大きなインパクトになっていくのではないでしょうか。メンバーシップ・プログラムとロイヤリティ・プログラムの違いやメリットについては下記のブログで詳しく説明させていただきました。
メンバーシップ・プログラムをグッズなどのECの商品の一部と考えれば、メンバーシップ・プログラムもロイヤリティ・プログラムと非常に相性が良いと言えます。メンバーシップへの加入を促したり、継続することの特典を渡していくことでメンバーシップの魅力をさらに増やすことができます。
メンバーシップ限定のロイヤリティ・プログラムを提供することでさらにファンの活動を促進することもできるでしょう。メンバーシップではお金を払った貢献に特典を、ロイヤリティ・プログラムではそれ以外の貢献に特典送ることで基盤のしっかりとした状態を作ることが可能です。
メンバーシップ・プログラムで、大きな収益を作ることは一部の限られた番組しか難しいことです。メンバーシップの加入を増やし、継続させ、さらに大きなインパクトを作るためにこの2つのプログラムの併用はとても重要になってきます。
4.リスナー・広告主・番組で大きなうねりを巻き起こす
メンバーシップやグッズなどリスナーからお金をいただく動きは今後注目ですが、リスナーだけが金銭的負担を持つのも持続的とは言えないでしょう。さらに大きなインパクトを作るためにはやはり、広告収入の増加が必要不可欠です。そのためには、広告主を増やす、もしくは広告の価値を増やす必要があります。いずれにしても、広告のビジネスインパクトを返すことが大切で、ロイヤリティ・プログラムはそれを解決できます。
スポンサーや広告に合わせたロイヤリティ・プログラムを用意することでスポンサーへの価値を増やすことにつながります。リスナーの方々は番組を支えるスポンサーをとても好意的に受け止めてくれます。実際に、私たちが「N93 カラタチの最果てのセンセイ!」のスポンサーをしている期間(もそれが終わっても)リスナーの方々はとても好意的に受け止めてくれ、拡散してくれ、ビジネス価値も得られました。
この好意を、熱量をロイヤリティ・プログラムで増大することができればさらに価値が増すと思うのです。飲料水のスポンサーがついた時に「XXしながらジュースを飲んでいるファンアート」をリスナーに描いてもらってSNSで拡散される体験や「ジュースを買ったらXX」などのプログラムを用意することが容易に考えられます。
まとめ
リスナーの熱量を育み、維持していくことでさらにラジオ業界は盛り上がることができると思います。どうやってリスナーを盛り上げることができるか、さまざまな企画が考えられると思いますので、興味関心が少しでもある方はぜひ一緒にお話ししましょう。FUSSYでは、初期コストやリスクを抱えることなくリスナーの熱量を成長エンジンに変えることができる仕組みを提供しています。